大天守の屋根に漆喰を塗り始めまで、残り半年。中田は壁の修理をする部下たちの手を止め、自分が習得した灰頭の技を見せた。当時19歳、最も若かった佐藤政太は青ざめた。中田はベテラン勢に加え、大修理をやりたいと言った若手たちを連れてきていた。漆喰塗りはすぐに乾くため短時間で一斉に行う必要がある。均一に美しく仕上げるには、全員が高いレベルで濡るようにならないといけない。1人ではなくみんなでやりきる。若手たちは自主的に練習を始め、中田も付き添った。半年、全員が灰頭の技を身につけた。2012年6月、大天守の漆喰塗りが始まったが急勾配の屋根の上では別次元の難しさがあった。急勾配での体制、足の位置など身のこなし方も習得しないとキレイな灰頭は作れない。中田も現場では初めて、若手に教える力がないことを痛感した。中田は、再び柴田の元を尋ね「若手にも教えてやってくれないだろうか」と頭を下げた。柴田正樹は身のこなしや体勢、バランスの取り方など秘訣を教えた。2013年10月、すべての漆喰を塗り終えた。こうして姫路城は真っ白に蘇った。
住所: 兵庫県姫路市本町68
URL: http://www.city.himeji.lg.jp/guide/castle/
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