医療のセーフティネットといわれる高額療養費制度は、手術や入院で治療が高額になった場合に自己負担額を抑えてくれる仕組み。年間約1250万人が利用しているが、政府は去年12月、自己負担しなくてはならない額の上限を、今年8月から段階的に引き上げる方針を決めた。その理由について福岡厚労大臣は今日の国会で「持続可能性を高める観点から行いたい」と説明。自己負担額の上限は年収や年齢に応じて異なるが、政府の方針では、年収約300万円の人の場合、現在の限度額はひと月5万7600円だが、2027年には8万円近くにまで上がる。また年収約600万円の人のひと月の限度額8万100円ほどは、2027年には11万円を超えることになる。街の人たちからは賛否の声が。また長く闘病を続けるがん患者の間では不安が広がっている。女性は7年前に胃がんと診断され、現在はパートタイムで働きながら週に1回程度通院し、薬を投与する治療を続けている。3割負担で医療費を支払った場合、月約45万円ほどだが、高額療養費制度を利用することで自己負担額は月4万4000円に抑えられている。今日公表された子供のいるがん患者らを対象にしたアンケート結果では、家計への影響を懸念する声が。約6割の人は「子供の塾や習い事を減らす」と回答した。医療のセーフティネットはどうなるのか。政府は長期の治療を受ける人向けに負担の増加を緩和する方向で調整を始めている。