上野さんはドル円予想レンジを153.40~155.40円とし、「本日はアメリカで生産者価格指数と失業保険新規申請者数が発表されるんですが、次のFOMCは随分先なので途中のデータだけだと市場の利下げ織り込み回数は極端には動かないと思うので、上下どちらに動いても1円程度とみている」と話した。また、注目ポイントには「”動かぬドル円” 復活の可能性も」と挙げ、「私はトランプ政策は相場の極端な撹乱要因にはなりにくいと思っている。ドル円が自由に動き始めてからアメリカの大統領任期中の変動率が最も小さかったのは第一次トランプ政権で、4年もあったのに13%しか動かず、歴代平均の37%の約3分の1に収まっていた。理由は2つある。1つに当時は日本も鉄鋼とアルミで関税をかけられたが、報復に動いたヨーロッパや中国などと異なり、安倍総理は反撃しなかったので、日本は関税バトルの蚊帳の外となった。トランプ政権が一律関税・相互関税を導入すると日本も今回対象になると思うが、石破総理が反撃せずに緩和協議に持ち込めば今回も似たような状況になるんじゃないかと思っている。もう1つはトランプ政権による関税・移民・財政の3大政策にはドル安・ドル高の2面性があると思う。今回、トランプ政権は”大型減税”と”歳出カット”の両方を実施するので、アメリカの成長率や金利に逆向きの力が働き綱引きになると思う。結局第二次トランプ政権の政策はドル円のトレンドにあまり響かないと考えている。昨年は日本で利上げ、アメリカで利下げが始まったが、実質金利は日本がマイナス、アメリカはプラスという状況が続いたので、日本の円高にはあまりならなかった。日本の貿易デジタル赤字や投資信託・直投を通じた海外への資金流出も続いていたので、ドル円は去年4年連続の陽線を記録している。今年もおそらく基本的な環境は変わらないと思うので、5年連続の陽線という新記録が生まれると見ている」などと話した。