去年5月から始まった皇族数の確保のための与野党協議が、大詰めを迎えている。背景にあるのは、皇族数の減少。1994年の皇室の人数は26人で、平均年齢は40.3歳だった。現在人数は16人で、平均年齢も58.2歳と上昇している。与野党協議の議事録から、2つの論点を整理した。1つ目は、女性皇族が結婚後も皇室に残る案。現状の皇室典範では女性皇族は結婚後皇室を離れることになるが、検討されている案は「皇室に残るかどうか」を選択できるというもの。皇室制度を研究する慶應義塾大学の笠原英彦名誉教授は、「悠仁親王殿下だけが一番若いため、周囲に皇族方がいなくなることが最も危惧される」などと指摘。女性皇族が結婚後も皇室に残る案については、各党が概ね合意している。ただし夫や子の身分をどうするかについては、議論が難航している。自民党などは女系天皇につながるおそれがあるとして、「皇族とすべきでない」と主張している。一方で立憲民主党は1つの家族に2つの身分が存在する問題点を指摘し、女性皇族の夫や子についても「皇族とすべき」としている。2つ目の論点が、旧宮家の男系男子を養子として迎える案。1947年に皇室を離れた11の宮家には、当時皇位継承資格者が26人いたとされる。自民党は15歳以上の独身男性が対象としているが、現段階で応じる人がどれくらいいるかは不透明。笠原名誉教授は、「養子となるご本人の負担はかなり大きく、厳しいのではないか」などと指摘した。