宮内庁のSNS戦略を取材した。今年4月、天皇皇后両陛下は太平洋戦争の激戦地「硫黄島」を初めて訪問された。おととし新設された宮内庁の広報室メンバーが同行。民間の広報担当2人が登用された。以前はホームページにアップされるまで約1カ月を要したが、現在は翌日にはSNSで発信される。約200万人のフォロワーがいる宮内庁のインスタグラムでは、スコップでたけのこを掘る姿やお揃いのヘルメットでサイクリングを楽しまれる天皇ご一家の写真が発信されている。皇室に関する確かな情報を自分たちの手で届けるため、宮内庁は新たな発信の手段を持つことにした。天皇ご一家の初めての沖縄訪問へ向けては広告制作会社に撮影を依頼するなど態勢を強化して臨んだ。初日は約1,000枚の写真を撮影。SNSに投稿する写真を選ぶ際にこだわったのは宮内庁公式ならではの視点。天皇旗が掲げられた「御料車」は公務でしか使わない特別な車。天皇皇后のための車なので愛子さまは別の車で移動される。そのため愛子さまが頭を下げて両陛下を待ち受ける珍しいシーンが撮影できた。発信を始めて1年あまり経ち、SNSがきっかけでご一家を見に来る若い世代も目立つようになった。海外ではイギリス王室がSNS発信に力を入れておりフォロワー数は1,320万人にのぼる。