津波から避難するときは、渋滞や混雑を避けるため車ではなく徒歩での避難が原則とされている。一方自力で避難できないお年寄りや、重い病気を持つ人など、車でしか避難できない事情を抱える人も少なくない。南海トラフ地震で34メートルの津波が想定されている高知・黒潮町では、10台が参加して車を使った避難の訓練が行われた。今年4月に震度4を観測した黒潮町に住む宮地敏行さん、美さん夫妻。自宅から高台までは、急な坂を上り徒歩で約10分かかる。敏行さんは心臓の病気を抱えているため、負担を考えてくるまでの避難を選択した。体が不自由な人や高齢者などの要支援者は避難に時間がかかるため、個別の避難計画をつくり車での避難を認めている。南海トラフ巨大地震が起きた場合、車で非難する住民は更に多くなる恐れがある。このため安全確保しながら避難できるか検証しようと車を使った避難訓練が行われた。訓練の後、町の職員が参加した住民たちに車での避難の課題について聞き取った。車と歩行者の避難は両立できるのか、今後も課題を検証し対策を検討していくことにしている。地元の住民たちとともに防災対策に取り組んでいる九州大学の杉山准教授は、車避難が一部の住民にとって有効な手段だと認めたうえで、あらかじめ避難のルールを決めておくことが重要だと指摘。