今年1月の能登半島地震で被災して富山市の桜の名所・松川では護岸の復旧工事にともなって一部の桜が伐採された。およそ500本の桜がトンネルのように咲き誇る富山市・松川。しかし能登半島地震によって700mにわたって護岸の一部に亀裂が走った。復旧工事のため川に重機を入れる必要があり約20本が伐採されることになった。遊覧船の運航会社・中村珠太専務は約30年にわたり遊覧船の船長などをつとめてきた。毎年早くに花を咲かせるため会社で開花の基準にしていた木だった。中村珠太専務は「仕事をしていると花を見ている余裕がないので、終ってからほんのひととき花見ができる。今まで楽しませてくれてありがとう」と話した。一方で当面伐採を免れた木もある。橋のすぐそばにあり花見客からも人気の木だった。当初は伐採される予定だったが中村らが交渉し残すことになった。工事を行う県もできるだけ桜を残そうと工法を工夫し、伐採本数を当初予定していた100本から約20本に減らした。伐採後は翌年に花を咲かせる若木を植樹することにしている。工事の影響で遊覧船は例年より4か月早く運航を終了した。船着き場にある茶屋の店長もつとめる中村珠太は船を出せない間は川べりを歩いて松川の歴史を紹介するツアーを考案した。松川の桜が整備されたのは約90年前だが、昭和20年の富山大空襲で多くが焼けてしまった。その後は復興を願う住民が再び木を植えて桜並木を蘇らせた。復旧工事は再来年の3月まで行われる予定。