4月下旬、ゴールデンウイークのさなか、埼玉・川口市内の静かな住宅街が異様な雰囲気に包まれた。ある団体が、トルコとの友情をアピールという名目で主催したデモ行進。そこに「トルコ国籍を語ったクルド人犯罪を許さない」との怒声が交じる。「不法滞在クルド人は追放しよう」とある。反対する人々も声を張り上げる。衝突を防ぐために、大量の警察官も動員された。こうしたクルド人へのヘイト行動は、医療センター前での騒乱の映像がネット上で拡散したことで急増。デモは市民の困惑の中、30分ほど続いたが、ヘイトに反対する活動をしてきた人たちは川口周辺からの参加者は少ないとみている。神奈川・川崎市での在日コリアンを標的にしたヘイトデモ。そこでヘイトスピーチをしていた人が4年前、刑事罰を科す条例が施行されたことで活動の場を移してきたという。人口の7%以上、4万5000人の外国人が住む埼玉・川口市。クルド人へのヘイト行動をどうみているのか、川口市・奥ノ木信夫市長は「非常に迷惑。川口の誰々が(ヘイトを)やっていると聞いたことがない」と語った。市長は病院前での騒乱のあと、国に仮放免をめぐる異例の要望を出している。奥ノ木市長は「川口は3Kの仕事が多い。その一翼の解体工事を担っているのはクルド人の人が多い。まじめなクルド人だってたくさんいる。きちんと就労すれば変な行動はしなくなると思う」と述べた。