ゼレンスキー大統領の目的は、グローバルサウスの国々から支持を取り付けスイスで開かれる平和サミットへの参加を呼びかけることだったが、難航していることが浮き彫りになっている。平和サミットは、スイスで今月15日から2日間の日程で開かれる。ロシア軍の撤退や領土の回復など、ウクライナが提唱する10項目からなる和平案などを協議する予定。ウクライナは、平和サミットに、西側諸国だけでなくグローバルサウスの国々の参加を目指してきた。グローバルサウスの多くの国々は、国連総会で行われているロシアを非難する決議案の採決では、棄権や反対に回り西側主導の経済制裁にも加わっていない。そのため、ウクライナはこうした国々をサミットに呼んで、ロシアに対する国際的な圧力を強めるため何か月もかけて準備をしてきた。ゼレンスキー大統領はこれまでに、サミットへの参加を表明した国は106か国に上ると明らかにした。しかし、グローバルサウスの国々の首脳級の参加者は少なくなり、ゼレンスキー大統領の計画どおりにはいかないとの観測が強まっている。すでに、米国のメディア・ブルームバーグは、グローバルサウスの代表格であるインドとブラジルは首脳級の参加は見送る方針だと伝えている。中国はロシアのウクライナ侵攻を支持していないまでも、侵攻開始以来ロシアとの連携を強めてきた。中国の関与を取り付けるため、ゼレンスキー大統領は先月末、習近平国家主席を名指しして平和サミットへの出席を求めたが、中国外務省は欠席する方針を明らかにしていた。また、中国とブラジルは先月下旬、ウクライナとロシアの双方が出席する和平会議を支持することで合意している。