日本経済新聞・柳瀬和央の解説。年金改革へ5案検証。厚生労働省が公的年金制度に関する5つの改革案について年金の抽出水準や年金財政に与える影響を検証。柳瀬氏は「政府は年金制度の状況を5年に1度検証。来年の通常国会に必要な改正案を提出。出生率や賃金などの動向によって将来の年金額がどう変わるのかを調べたり制度を修正する5つの案を実施した場合にどのような影響が出るのかを調べる」などと述べた。きょうのテーマは「将来の年金をどう底上げするか」。年金改革に向け検証する5項目。1.基礎年金の納付期間40年→45年、2.基礎年金の給付抑制を早期停止、3.厚生年金の加入対象拡大、4.働く高齢者の年金減額の見直し、5.厚生年金保険料上限の引き上げ。基礎年金額の底上げに力を入れる理由について柳瀬氏は「今の年金制度の大枠は少子高齢化への対策として実施した2004年の大改革が導入された。当時の想定より基礎年金の財政が悪化していて、将来の年金額が大きく目減りしてしまう。20歳から40年間保険料を納付した場合に65歳からの基礎年金額は月額6万8000円。2019年の検証では2046年以降になると月額4万7000円程度となる。20年後、30年後の引退世代の年金額を守るために年金額を底上げしないといけない。基礎年金の保険料を収める期間を45年間にする案。納付額が5年分増えるため底上げする。トータル総額は増えることになるが65歳まで働き続けることが一般的になった現状に合わせた改革とも言える。基礎年金の給付抑制を早期停止。年金給付を2023年まで抑制、将来の年金額を確保する狙いだったがデフレで発動されず2046年まで継続の必要性。厚生年金からお金を回し2033年で打ち止め。厚生年金が損をする仕組みに見えるが厚生年金を底上げすることで恩恵は会社員の多くの方にも及ぶ。厚生年金の加入対象拡大。厚生年金に加入するパートタイム労働者の範囲は拡大されてきた。従業員50人以上で週20時間以上働き月給8.8万円以上の人は対象になる。改革ではさらに広げる。事業主としての保険負担を求められ反対意見も出てくる。これを全て行うことが決まったわけではない。何をやるかは政府が判断する。これがいいと改革案があればのぼる可能性がある」などと述べた。(日本経済新聞17日付)