僅かな聴衆の中で行われる街頭演説。福島第一原子力発電所の事故から14年を前に行われた、福島・双葉町の町議会議員選挙の様子。双葉町は、原発事故で全町民7140人が避難を強いられた。3年前に町の中心部の避難指示が解除されたが、現在町に住んでいるのは僅か181人にとどまっている。11年にわたり人が住めなかった町で目指すゼロからの復興。どんな未来を作ろうとしているのか。1人の若手議員に密着。町議会議員選挙で当選した山根辰洋議員は、議員の中で最も若い39歳。8歳の娘が通うのは隣町の小学校。双葉町には、学校や病院、スーパーなどの生活インフラはほとんどない。山根議員は東京出身。震災後に復興支援員として活動する中で、双葉町出身の妻と結婚。3年前に町内に住めるようになったあと家族5人で移り住んだ。しかし人が住めない状態が10年以上続いた町の再生は簡単ではない。商工会に登録がある町内の事業者は40で、事故前の約5分の1。主な産業だった農業の再開率も、約0.6%にとどまっている。山根議員は「多様な人が暮らすにはまだまだ課題た多い」と語った。