田んぼの元所有者・清華輝美さん(79歳)がポツンと一軒家を訪れ、野菜を差し入れてくれた。輝美さんは隣の集落出身で茅葺きの家に嫁入りしたという。ベンジャミン夫妻の茅葺き屋根の建物を見て、これだけのものを2人で建てることは出来ないと驚いていた。建築時には輝美さんも手伝い、一緒に茅狩りもした。24歳で結婚したが、夫は53年前に他界し、26歳で独り身になった。綺麗な米を食べたいとの思いから無農薬栽培を始めた。無農薬栽培は近隣に迷惑がかかるため、32年前に山奥の棚田で稲作を始めた。高齢で体力的に農作業が困難となったことから、米作りをやめようと考えていた時にベンジャミンさん夫婦と出会った。自然農法で野菜を栽培していた2人を見て、5年前に田んぼと農機具小屋を譲渡した。譲渡後も山に通い、2人に稲作の手順を伝授している。米作りだけでなく、椎茸の原木栽培、檜の枝打ちまで持ち得る全ての知識を伝えた。2人にとって輝美さんは師匠といえる存在。