1992年、日榮新化は粘着フィルムの悩みを解決する画期的な製品を開発した。フィルムを貼り付ける際、うまく空気を逃さないとフィルムとの間に気泡が残る。そこで日榮新化は気泡が残っても上から軽く押さえるだけで空気を抜くことができる粘着フィルム「マトリクス」を開発した。特殊な加工によって小さな格子状の溝が作られていて、そこから空気を抜くことができる。この技術は貼る時に空気が入りやすい大型広告看板にも活用された。かつて、携帯電話のボタンを固定するために日榮新化の粘着フィルムが広く使われていた。しかし、時代はボタンのないスマートフォンになって主力製品の売り上げを失った。起死回生の製品となったのが電子基板を固定するための粘着シート。そして今、様々なメーカーといっしょに資源循環プロジェクトというラベル台紙のリサイクルに取り組んでいる。東洋紡と共同開発した台紙はPET樹脂だけを使っていて、何度でもリサイクル可能。