アルゼンチンのミレイ大統領は、アルゼンチンのトランプとも呼ばれている。この大統領が始めた経済改革で、インフレが急速に改善した。グラフ・アルゼンチンの消費者物価上昇率(前年比)を紹介。2024年4月は289.4%と、1年で物価が3.9倍に。その後は急速に下がり、2025年1月は84%まで低下した。どのようにしてインフレを抑えたのか。通貨ペソの切り上げという、通常とは逆のことをした。ペソには公定のレートとは別に、実際に両替所で使われている非公式レートというものがある。通貨を切り下げることで、公定レートを非公式レートに近づけた結果、国民のペソに対する信頼を高めることに成功した。次の経済改革が、財政支出を減らすこと。省庁の数を減らし、公務員などを3万5000人以上削減。公共事業も見直して、去年は2010年以来初めてとなる財政黒字を実現した。これに近いことが今行われているのが、アメリカ。政府効率化省を率いるイーロンマスク氏も、政府職員を大幅に減らしている。「アルゼンチンの例は、ほかの国でも役立つモデルになる」とSNSに投稿していた。インフレに苦しむのは日本も同じだが、日本とアルゼンチンは経済の状況、構造、インフレ率も大きく異なるため、この荒技をそのまま適用することはできないが、政府のむだな支出を大幅に減らしたことは、日本も見習うべき点だといえるかもしれない。