戦争の記憶や記録を伝える資料館が岐路に立たされている。東京・新宿区にある平和祈念展示資料館は国が民間企業に運営を委託している施設で、ここ数年若い世代の来館者数を伸ばしている。SNSによる発信にも力を入れて若い世代の来館を促している。平和祈念展示資料館・加藤さんは「若年層の比率が高くなっている」などと述べた。運営面や財政面で不安を抱えている施設もある。岩手にある釜石市郷土資料館は、連合国軍の艦砲射撃で700人以上が犠牲になった被害を伝えているが、佐々木館長補佐は「人手がなかなか確保できない」などと述べた。市の予算に限りがあり学芸員が確保できず、非正規職員3人が運営・資料整理などを行っている。戦争を伝える施設への調査(平和のための博物館市民ネットワーク)で運営で不安があるか訪ねた質問では、不安があるという施設が合わせて半数以上。財政で不安があるか訪ねた質問でも不安があると回答した施設が合わせて5割を超えた。より厳しいのは私立の施設。東京・大田区にある昭和のくらし博物館は、91歳の館長・小泉和子さんが私費を投じ1999年に開館した。小泉さんは「戦争を絶対に起こしちゃいけない」などと述べた。来館者に展示資料を手に取ってもらっている。入館料や会費では運営費がまかなえず寄付などに頼る苦しい状況が続いている。次の世代に戦争の記憶をつなぎたいと運営を続けている。専門家の山辺さんは資料館の役割について「博物館の役割はますます大事になっていく」などと述べた。専門家は運営を続けるには個人や団体に強力や支援を呼びかけ、施設どうしで交流など支え合う仕組みが必要だと指摘している。
