月額33万400円。これは、きょう発表されたフルタイムで働く人の去年の平均賃金。3年連続で過去最高となった。男女間の賃金格差は最も小さくなった。ただ依然、隔たりがあるのが現状で、格差解消につながる企業の取り組みも始まっている。非正規雇用を含むフルタイムで働く人の平均賃金。去年は月額33万400円で、3年連続で過去最高額を更新したことが、厚生労働省の調査で分かった。前の年からの伸び率は3.8%で、1991年以来、33年ぶりの高い水準。産業別で見ると、最も高かったのが、電気・ガス・熱供給・水道業の43万7500円、次いで金融業・保険業が41万600円などとなった。一方で、厚生労働省の別の調査では、物価の変動分を反映した実質賃金は去年、3年連続のマイナスとなっていて、物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない実情もある。東京・新宿駅前の映像。一般の人のコメント。今回の調査では、男女別の賃金についても明らかに。男性は36万3100円で、前の年よりも3.5%増加し、女性は27万5300円で、4.8%増加。男性の平均賃金を100とした場合、女性は75.8で、男女間の賃金格差は前の年より1.0ポイント縮まり、最も小さくなった。茨城・水戸市にある従業員、約40人の運送会社。かつてドライバー職の正社員は男性のみで、女性は軽いもののみを配送する嘱託職員として採用。賃金には14.3%の格差があった。しかし人手不足を受け、3年ほど前から女性も男性と同じ賃金の正社員として積極的に採用。会社では、女性でも配送の仕事がやりやすいよう、台車の数を増やして1台に載せる荷物の量を軽くしたり、急勾配で台車が使いづらい現場を配送ルートから外したりと工夫を行っている。さらに男性社員からの提案も。段差で使う鉄板は、以前は重いものだけだったが、持ち運びしやすいよう小型で軽いものを特注して使うことにした。運送会社・谷萩寛子常務は「女性だからできる、出来ない、男性だからできる、できない、といった領域を超えている。どちらでもできる体制を企業がつくっていかなければいけない。女性の管理職も増やしていきたい」と語った。労働市場に詳しいみずほリサーチ&テクノロジーズチーフ日本経済エコノミスト・酒井才介さんは、男女間の賃金格差の縮小を評価しつつも、依然、隔たりがあることについて、「男性の育児参加が十分でない中、女性に育児負担が偏っている。結果として仕事に男性以上に自分のリソースを振り向けることができない。男性の働き方改革も重要で、結果として、男性、女性トータルで見た家事負担を減らし、それが女性の社会進出、キャリアの蓄積につながる」と指摘。
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