医師の偏在について厚生労働省が総合的な対策を取りまとめた。高齢者中心に500人余が暮らす山梨・丹波山村では、村唯一の診療所の医師が近く定年退職する予定で後任は決まっていない。村長は日本全国に聞いてもらうぐらい募集をかけたいと話している。診療所が1つもない市町村は2040年には342にまで増えると試算されている。医師の偏在問題には地域の偏在だけでなく診療科の偏在もある。夜間を含めた体制が必要な科は希望者が伸び悩んでおり、最近は待遇の良さから美容医療に進む医師も相次いでいる。地域ごとの医師割り当てなど強制力ある手法が必要との意見もある。4月の日曜討論で武見厚生労働相は、地域において医師の割り当てを本気で考えなければならない時代に入ってきたと発言した。厚生労働省が打ち出した対策では医師が多い地域で新規開業する医師に都道府県が診療内容について要請できる制度を強化したが、当初検討されていた強い規制的手法は盛り込まれなかった。このほか医師が不足する地域で開業する医師への経済的支援の強化も盛り込まれた。一方で診療科の偏在については議論が持ち越された。長時間労働の是正、待遇改善など早急な検討が必要。国際医療福祉大学の高橋教授は、医師不足の重点区域だけでもモニタリングを徹底し医師が辞める前に手を打てるような体制を作ることを提唱している。