来月、ニューヨークで開かれる核兵器禁止条約の締約国会議に、日本被団協日本原水爆被害者団体協議会が派遣する被爆者の和田征子さんは、きょうの会見で「何をもってオブザーバー参加できないのか知りたい」と述べた。去年、ノーベル平和賞を受賞した被団協。石破総理大臣と受賞後に面会した際、来月の会議に日本がオブザーバーとして参加するよう求めていた。核兵器禁止条約は、2017年に国連で採択され、4年前に発効している。核兵器の開発や保有、使用などを禁じる初めての国際条約で、アメリカやロシアなどの核保有国は参加していない。政府は、核兵器国が1か国も参加していないなどとして、条約への参加に慎重な姿勢で、オブザーバーとしても参加したことがない。一方、政府は現実的で実践的な取り組みが必要だとして、核保有国と非保有国の双方が参加するNPT核拡散防止条約の体制の下で、核兵器の不拡散と軍縮が進むよう、各国に働きかけを続けている。こうした中、石破総理大臣は去年、核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバーとして参加するかどうかを巡り、議事録を検証するなどして検討を進める考えを示した。しかし、おととい、岩屋外務大臣は「アメリカによる核の抑止力も念頭に、核による拡大抑止が不可欠だ。オブザーバー参加は、わが国の核抑止政策について誤ったメッセージを与え、平和と安全の確保に支障を来すおそれがある」と述べ、参加を見送ることを明らかにした。来月の会議に向けて和田さんは「最後まで諦めないで訴え続けたい」と話していた。また濱住治郎さんは「会議が前進するようにという思いが伝えられたら」と話していた。