経済部・吉田幸史が「“春闘”本格化 賃上げどうなる?」について解説。今月中旬以降、自動車や電機流通業界などの大手で労使交渉が本格スタートするのを前に、大企業の間では賃上げの方針の発表が相次いでいて、初任給を30万円台に引き上げることを発表した金融機関やメーカーもある。賃上げとセットで進めようとしているのが生産性の向上。イオンはアルバイトやパート従業員を対象に7%の賃上げを行う方向で労使間で協議が進んでいる。対象は42万人に上るため、年間人件費は約400億円増える見通し。セルフレジをレジの8割程度に増やす他、自動で表示を変えられるデジタルの電子値札を増やすことにしている。担当者は「賃上げは経営を圧迫することは間違いない。賃上げを超える生産性の向上を進めることが必要」と話している。一方、日本商工会議所が去年12月に約2000社の中小企業に行った調査によると、新年度に賃上げを予定している企業は48%に上ったが、その多くが防衛的な賃上げ。防衛的な賃上げとは、業績の改善は見られないが人材確保や人材のつなぎとめのために無理をしながら賃金を引き上げるもので、賃上げに前向きになれていない実態が浮き彫りになっている。また賃金の引き上げ見通しについては、「3%から4%引き上げる」と答えた企業が23%と最も多かったが、「5%以上引き上げる」と答えた企業は11%。連合は中小企業に6%の賃上げを要求しているため、ハードルが高い状況となっている。