現職議員の政治団体の会計責任者の秘書は選挙の後の余った資金について「本当に悪意があれば多額の寄付を集めて、あまりを自分のものにするというのは想定される」と述べた。実際余った資金はどう処理されているのか。去年の衆院選の当選者の「選挙運動費用収支報告書」を分析した。収入の総額が33億2200万円余に対し、支出の総額は33億200万円余。ほぼ使い切っているように見えるが、支出のうち看板やポスター代など約9億300万円は公費負担だったため、約9億2000万円が余った計算になる。余剰金の行方を各議員の関係する政治団体の収支報告書と照合したところ、5億2000万円余については記載が無く、どのように処理されたか分からない状態。余剰金の処理について公職選挙法では定めていない。先ほどの秘書は資金が足りなくなることが多いと言うが、余った場合は政党などに寄付しているという。事実上、各候補者に処理が任されている現状について日本大学法学部・安野修右准教授は「一般の社会では問題になったり懲戒の対象になったりするような資金の処理のしかたが、公職選挙法の世界では合法になってしまっていること自体が問題。道義的に社会一般に通用する行為なのか、そういう目線で見て対応することが大事」と指摘した。
