熱中症予防に欠かせない暑熱順化。汗を調べると暑熱順化をしているか分かる。実験をするべく、金子貴俊を含めた20代~60代までの男女6名を集めた。日本福祉大学大学院の西村直記教授が協力する。7月の東京の環境に近い気温約33℃、湿度約70%に設定された人工気候室で実験。汗のかき方を発汗測定機を装着し汗の量を計測する。0.1ミリリットルの汗が出るまでの時間で比較。金子の場合は3分半。女性チームの若葉さんは6分半、前田さんは7分半。男性チームの川島さんは8分。高齢者チームの神倉さんは12分。重田さんは暑さを感じられず、汗がほとんど出なかった。汗腺は加齢とともに潰れたかのように萎縮し汗をかく機能が衰えてしまう。汗をかかない生活によっても汗をかく機能が衰えるが、汗腺を刺激し暑熱順化することで、汗をかく機能が再び蘇る。最も重要なのは汗の量。金子は暑熱順化されているという。同じ男性チームだった川島さんは20代の割に汗をかくのが遅く量が少ないため、暑熱順化ができていない。女性チームの若葉さんは暑熱順化ができていたが、同年代の前田さんは汗の量が少ないため暑熱順化一歩手前の状態。高齢者チームの神倉さんは汗の量がしっかりとしていて暑熱順化はできている。重田さんは暑熱順化できていないという結果。次はマイクロスコープで拡大して汗の状態をチェック。暑熱順化ができていると汗は若葉さんのように皮ふに薄く広がる状態。金子と神倉さんにも同じ状態の汗が確認できた。川島さんの汗は玉のような見た目。西村教授は「玉の汗は体温調節していない」などと指摘した。暑熱順化できていないと汗を分泌できる汗腺がまばらで玉のような見た目の汗になる。サーモカメラで表面温度を確認する。川島さんは顔全体が赤く熱がこもった状態。汗による体温調節機能の差が夏の熱中症の危険度を左右する。さらに汗に含まれている成分も違う。汗腺から汗が分泌される際、導管で体内に必要な塩分が再吸収されるが、汗腺の働きが鈍ると塩分の再吸収がうまくいかず塩分濃度の高い汗になる。海外の実験では暑熱順化の前後で汗に含まれる塩分量に差があることが報告されている。塩分濃度の高い汗をかくと、ミネラルバランスが崩し、脱水症状を引き起こす危険性がある。熱中症に詳しい日本医科大学武蔵小杉病院の医学博士・神田潤は「差が生まれるのは汗をかく習慣、食事にある」などと指摘した。暑熱順化のための汗活ポイントは3つ。