兵庫県知事選挙で斎藤元彦前知事が元尼崎市長・稲村和美氏との事実上の一騎打ちで約14万票差をつけ勝利。在任中は“おねだり”や“パワハラ”疑惑が相次いで報じられていた。報道機関に告発文書を送った県の幹部職員が停職3ヵ月の懲戒処分となり、その後死亡。百条委員会では「道義的責任が何か分からない」と発言。県議会は全会一致で不信任を決議し失職。最後の登庁日は職員からのセレモニーもなかった。斎藤元彦氏を待ち受けていたのは孤独な選挙戦。前回推薦を出した維新と自民は独自候補を擁立すると宣言。聴衆もあまり多くは集まらず、孤独な戦いが続くと思われたが、徐々に風向きが変わった。斎藤氏の選挙活動を配信し続けてきた男性は変化に気付いたという。選挙期間中に支持が広がっていった。きっかけとなったのはSNS。パワハラ疑惑を調査する百条委員会は続き、結論は出ていない中、SNSでは“疑惑はデマ”とする投稿が拡散。また、政治団体党首・立花孝志氏は、斎藤氏を応援するために立候補し、街頭やSNSで発信を続けてきた。斎藤氏の演説では疑惑を否定すると怒号があがったが、それをかき消そうと声援が広がっていた。優位とされていた稲村氏は追い込まれる立場となった。インターネット上で飛び交う憶測への火消し。選挙戦終盤には県内全29市のうち22市長が稲村氏の支持を表明。斎藤氏の勢いは止まらず選挙戦を終えた。今回の投票率は55.65%と前回より14%以上高くなった。ABCテレビの出口調査によると、7割以上の人が斎藤県政を一定以上評価。投票で重視したことが「告発文書問題への対応」が1割だったことに対し、「政策や公約」が4割近くにのぼっていた。大混乱の末、兵庫県民は再び斎藤氏を知事に選んだ。県政は今後どうなっていくのか。
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