7月8日、フランス・トゥールーズ。エアバスに発注していた最新鋭機を受け取るためにやって来た、JALの整備士・山口直裕さん。1機400億円とも言われるこの機体、一発勝負の最終チェックが始まる。気になる所は鏡とライトを使って、奥の奥まで覗き込み徹底的に調べ上げる。見つけたのは翼の繋ぎ目の部材、しっかり止められていなかった。引き渡しの日までに直してもらうように注文をつける、こうした細かなチェックを機体の隅から隅まで50カ所にわたって行っていく。続いては緊急事態を想定したエンジンのテスト、トラブルが起きた時それをカバーする安全装置がしっかり機能するのか、滅多にテスト出来ない貴重な機会。それから9日後、修正点も無事に改善されいよいよ最新鋭機を日本に持ち帰る日がやって来た。山口さんがJALを代表する形で機体整備の最終確認にサインした。初フライトでは離陸直後に、別れの挨拶として機体を左右に振るのが習わし。7月18日羽田上空、13時間の長旅を経て無事に到着した。この機体は、日本国内での最終整備を済ませアメリカ路線に投入された。無事に任務を終えた山口さん、いつも作業着のポケットに入れているものが「安全憲章」。その裏には、各自が安全に対する自分の考えを書き込む場所がある。日航123便墜落事故の後、日本の航空会社は商用航空機による死亡事故0を続けている。