日銀のマイナス金利解除、そして追加の利上げをきっかけに多くの金融機関が貸出金利を引き上げるようになっており、平均の貸出金利も上昇傾向になっている。借り手としては負担が増えるため、金利が安い金融機関を選びたくなる。ただ、金利ある世界は17年ぶりで、金融機関でも未経験という人が多いという。どうすれば取り引き先をつなぎ止められるのか、現場では模索が続いている。都内が拠点の信用金庫で支店長を務める辺見大樹さん。貸出金利の引き上げに向けて作られた研修用の動画を繰り返し視聴している。辺見さんが信用金庫に入ったのは2009年。長く融資の現場に関わってきた。そんな経験豊富な辺見さんでも、金利ある世界での営業は初めてのこと。融資先企業にとっては負担が増えることになる金利の引き上げ交渉。厳しいやり取りになったとしても、辺見さんは事情を隠さず伝えることにしている。この日、訪れたのは、ひな人形の製造・販売を手がける会社。早速、貸出金利の引き上げの理由を説明した。しかし、会社もさまざまな逆風に直面している。金利を引き上げても、会社がゆとりを持って返済できるような状況を作り出す。この信用金庫は「経営コンサルタントのような力が必要だ」と感じている。この信用金庫は動画だったが、ロールプレイングで練習するところもあるという。これまでも金融機関は貸し出し以外の付加価値が必要だと指摘されてきたが、金利ある世界の今こそ力が問われている。金利ある世界、来週17日のEyesonでは、金利上昇が銀行間の競争を一変させた現状を伝える。