携帯の通信に使われる基地局が、車の自動運転を支援する取り組みが進められている。携帯電話大手のソフトバンクは、米国の半導体大手・エヌビディアと開発を進めている。携帯の電波を中継する基地局の中に、エヌビディアのAI向けの半導体が搭載されている。AIの情報処理は、一般的には遠く離れた場所にある巨大なデータセンターで行われるが、今回の取り組みは、すぐ近くにある基地局単位で行うため、遅延なく情報を送ることができる。公開された実証実験の映像を紹介。自動運転で走るバスが、横断歩道の手前でいったん停止する。カメラを通じて安全を確認して再び進むが、この指示を出しているのは、そばにある基地局のAI。エヌビディアでAIと通信の事業を担当するソーマヴェラユサムさんは「コンピューターと顧客の距離を近づけることで、遅くならずに安全なデータ通信ができ、新しいアプリケーションを生み出すことができる」、ソフトバンク・宮川潤一社長は「車の能力だけどんどん上げても結局交通事故は変わらないと思う、日本で実装できて有効だと証明できたら、これこそ輸出のモデルにしたい」と述べた。一方、NTTは光通信技術を活用した次世代の高速ネットワークを使い、複数のデータセンターを結ぶ通信システムの開発を進めている。