しかし、その後に起きた2つの事件によって選挙の演説会場における表現の自由と要人警護を巡り、再び大きな議論となる。今年10月に行われた徳島・高知の補欠選挙で岸田総理が徳島市で応援演説をしていたとき、岸田総理から約50m離れた場所にいた聴衆の男性野次を飛ばすと、徳島県警の警察官が男性の元へ行き、静かにするようなジェスチャーをした。映像を見た九州大学の豊崎七絵教授は、地声で野次を飛ばしただけで犯罪や危害を生じる危険を予測させるような、何かそういう客観的な行為をしたわけでもないですから、表現の自由という重要な権利利益を侵害したという意味ではむしろ強制的な措置であり、警職法上の根拠もない違法な行為で憲法21条に抵触すると指摘した。徳島県警は、制止をするようなことは行っていない、などとと回答した。早稲田大学の阪口正二郎教授は、手荷物検査もちゃんとやってるわけだからその上でヤジを言ったからというだけで、そんな危ない行為をするなんて言うのはかなり短絡的で飛躍した発想、ヤジを言うことはちゃんとした権利だと警察はあまり考えていないのでは、と指摘した。
札幌で先月20日に行われた映画「ヤジと民主主義 劇場拡大版」の先行上映会。ナレーションを務めた作家の落合恵子さんは「言論統制のようなものだと思うがより複雑でより見えにくい形での統制というのはさらに進んでくるのかなと思うととても怖い」等と話していた。
札幌で先月20日に行われた映画「ヤジと民主主義 劇場拡大版」の先行上映会。ナレーションを務めた作家の落合恵子さんは「言論統制のようなものだと思うがより複雑でより見えにくい形での統制というのはさらに進んでくるのかなと思うととても怖い」等と話していた。