2024年11月24日放送 3:40 - 4:40 フジテレビ

FNSドキュメンタリー大賞
私のお墓はどこですか〜さまようムスリム永眠の地〜

出演者
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(オープニング)
今回は…

イスラム教徒「ムスリム」は宗教上の理由で火葬は許されず、必ず土葬をしなけらばならない。日本に住むムスリムは長年暮らした日本で土葬墓地を作りたいと願っているが、これまでの暮らしを守りたい地域住民の理解を得るのは難しい。日本のある小さな街で揺れている墓地の問題を追った。

オープニング

オープニング映像。

(FNSドキュメンタリー大賞)
私のお墓はどこですか〜さまようムスリム永眠の地〜

大分県日出町。約2万8000万人が住むこの町にイスラム教徒(ムスリム)のど層墓地を作ろうとしている別府ムスリム教会代表のカーン・ムハマド・タヒル・アバスさん。カーンさんは2018年日出町南畑の土地を購入。イスラム教徒土葬墓地の建設を計画している。イスラム教は亡くなった人を土葬しなければならないが、火葬が主流の日本ではその場所を見つけることが難しい。日本で暮らしているムスリムの人口は2020年末推計で23万人。2024年には27万人を超える可能性がある。現在、日本でムスリムを土葬できる専用の場所はわずか9か所。西日本は特に少なく九州にはまったくない。早稲田大学の店田廣文名誉教授はムスリムの土葬墓地が少ないことについて「ある種の人権問題」と警鐘を鳴らした。土地を購入し九州にもムスリムの土葬墓地を作ろうと試みているカーンさんだが、地元住民からは火葬ではなく土葬であるということについて反対の声があがっている。土葬墓地の予定地には貯水池があり、その近くに遺体を埋めることで水質への影響があるのではないかというのが理由だった。

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別府ムスリム協会早稲田大学高平地区(大分)

別府ムスリム教会の土葬墓地建設に反対する大分県日出町高平地区の住民たち。墓地の建設予定力2キロほどの範囲には地区で利用する農業用のため池があった。住民たちは墓地からの排水でため池の水質が悪化するのではないかと心配している。「外国人差別ではない」と語る住民たちだが、カーンさんは一種の差別ではないかと感じている。地元住民の反対は日本でムスリムの土葬墓地が増えない理由の一つ。日本では土葬は法的に問題があるわけではなく、墓地・埋葬等に関する法律では「埋葬とは死体を土中に葬ること」と定められており、土葬も想定されている。市町村の許可を得れば土葬は可能だが、一部自治体では条例で禁止しているところもある。山梨県の文殊院にはムスリム専用墓地があり、約150人が眠っている。年々埋葬の依頼が増えているが、新たに埋葬可能なスペースはないという。カーンさんは2001年、学生時代に日本に留学し永住を決断。日本で結婚し3人の子どもに恵まれた。子どもたちの未来のためにもイスラム教の土葬文化を受け入れてほしいとカーンさんは強く願っている。2022年、地元住民の反対を受けて別府ムスリム教会は土葬墓地の場所の変更に踏み切った。しかし新たな候補地には約550m離れた先に杵築市の水源地があり、地区の住民たちは断固反対した。

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別府ムスリム教会の土葬墓地建設予定地が日出町の町内で移設。しかし新たな候補地には約550m離れた先に杵築市の水源地があり、地区の住民たちは断固反対している。日出町の経営に関する条例では「近隣住民」とは墓地から110m以内に土地を所有する人のことを指す。近隣住民には墓地の経営許可を受けた人が公衆衛生などについて協議することが必要とされているが、今回杵築市の住民はそれに該当していない。日出町が開催した住民説明会では日出町側と杵築市側が激しく衝突。WHOなどの報告書をもとに水源地の水質への影響はないと日出町は主張しているが、山間で農家が多い杵築市の住民にとって水は命。科学的な根拠よりも風評被害を恐れる人が多数存在する。

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土葬墓地問題がくすぶる中、ある日本人ムスリムが大分トラピスト修道院で埋葬された。大分トラピスト修道院はキリスト教の修道院だが、場所がないムスリムのために土葬の場所を貸しており、すでに6人のムスリムが埋葬されている。土葬する場所がないムスリムにとって大分トラピスト修道院の厚意は大変助かっているという。土葬墓地問題が大きくなるにつれて、全国から意見が届くようになり中には「郷に入っては郷に従え」などの言葉を耳にするようになった。カーンさんは「誰かの迷惑になると心が痛いが土葬以外は何もできない。火葬は一切ダメ」と宗教上絶対に変えることのできないものであると苦しい胸の内を語った。

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2023年12月、別府市で「イスラーム文化祭」が開催。イスラム教のことを知ってもらいたいと10年ほど前から開催されている。土葬墓地をめぐって相互理解の重要性を感じたカーンさんが開いているイベント。大分県内のイスラム教徒が集まり自分たちの郷土料理を日本人に振る舞っている。山梨県の文殊院には日本ムスリム教会所有の約150人のムスリムが埋葬されている土葬墓地がある。先代の住職・古屋正明さんがイスラム教徒と交流があり、日本ムスリム協会から依頼を受けて設置されたものだという。現住職の古屋和彦さんは土葬墓地問題について「文化とかそういうことよりも困ったことに手を貸すことはもっと基本的なことじゃないかと思う」と語った。

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