別府ムスリム教会の土葬墓地建設に反対する大分県日出町高平地区の住民たち。墓地の建設予定力2キロほどの範囲には地区で利用する農業用のため池があった。住民たちは墓地からの排水でため池の水質が悪化するのではないかと心配している。「外国人差別ではない」と語る住民たちだが、カーンさんは一種の差別ではないかと感じている。地元住民の反対は日本でムスリムの土葬墓地が増えない理由の一つ。日本では土葬は法的に問題があるわけではなく、墓地・埋葬等に関する法律では「埋葬とは死体を土中に葬ること」と定められており、土葬も想定されている。市町村の許可を得れば土葬は可能だが、一部自治体では条例で禁止しているところもある。山梨県の文殊院にはムスリム専用墓地があり、約150人が眠っている。年々埋葬の依頼が増えているが、新たに埋葬可能なスペースはないという。カーンさんは2001年、学生時代に日本に留学し永住を決断。日本で結婚し3人の子どもに恵まれた。子どもたちの未来のためにもイスラム教の土葬文化を受け入れてほしいとカーンさんは強く願っている。2022年、地元住民の反対を受けて別府ムスリム教会は土葬墓地の場所の変更に踏み切った。しかし新たな候補地には約550m離れた先に杵築市の水源地があり、地区の住民たちは断固反対した。