劔崎さんは「日本の労働分配率」。付加価値に対する人件費の割合。今年の春闘のベースアップ率の賃金への反映も終了した可能性が高い。来年の春闘のベースアップ率に目を向ける必要性が出ている。本年のベースアップ率は前の年のインフレ率、前の年の企業収益率の伸びでほぼ決定される。前年のインフレ率や企業収益の伸びが徐々に低下し始めている。労働分配率の明確な上昇が見られない限りは今年と同水準のベースアップ率を来年実現するのは難しい。大企業の労働分配率は50%を下回っている。分配率の引き上げは容易。中小企業は依然として75%程度。日銀は労働分配率が高い企業であっても収益の改善がみられる環境では高めの賃上げが可能であると指摘している。中小企業の価格転嫁と収益の改善がさらに進むかどうかが来年のベースアップ率のカギになる。尾河さんは「日米金融政策の転換点」。ドル円のボラティリティーが高止まりしている。前回10%を超えてきたときはアメリカが利上げを開始した時。円キャリー取引には向かない。円キャリー取引で円安が進むことは考えにくい。