武田さんは「間合い」について思うことを紹介。間合いとは人と人との間隔のことであり、間を詰めるといった話がスポーツ界では聞かれ、芸能界でも話の間がいいといった評価が聞かれるなどしている。コロナ禍ではソーシャルディスタンスが話題となったが、渋谷スクランブル交差点は外国人が写真を撮影するほど名物となっている。外国人は四方八方から人がすれ違う様子が面白いと思っているのだという。「「間合い」とは何か -二人称的身体論-」という本もあり、武田さんは渡っている人の中心視野は30度でありここを鮮明に見ているのに対し、横に広がる周辺視野が広がっている。しかし、横まで広がる周辺視野の情報も把握することでぶつからないようにしているという。ぶつかったときの圧力を感じることも可能だという。相撲においても立ち会いの間は2人に任されるとともに呼吸が合わなければ仕切り直しとなる様子が見られるが、行事はゴングなどを鳴らすわけではなく息が合うのを見守るだけなのが特徴となるが、力士が横に避けるなどして間合いをずらすと変化と呼ばれて批判の対象となる。日本には阿吽の呼吸という外から観察するのが難しい心身のやり取りを重視する文化が昔からあったのではないか、間合いは文化の歴史の中から生み出されたのものではないかと武田さんはまとめている。英語だとソーシャルディスタンスと呼ばれ2mほどの距離となるものの、これに対し日本では間合いを取る様子が文化にも表れているのではないかと紹介。