性同一性障害の人の性別変更をめぐり、最高裁は性別変更に実質手術を求めている2要件の内、「生殖機能をなくすこと」を求める要件について「違憲」との判断を示した。一方「変更する性別の性器に近い見た目をもつ」ことを求める要件については、高裁で改めて審理するよう求めた。今回の申し立ては、戸籍上は男性で女性として生活している性同一性障害の申立人が、法律で性別変更の要件に「実質的に生殖能力をなくす手術を求める」ことは憲法に違反するとして、手術を受けずに性別変更ができるよう求めているものである。最高裁大法廷は今日、「生殖機能がないこと」を求める要件は、「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」を制約するものとして、意思に反して生殖機能をなくす手術を受けるか性別変更を断念するかの過酷な二者択一を迫るものになっていると指摘し、憲法違反で無効との判断を示した。一方「変更する性別の性器に近い見た目をもつ」ことを求める要件については、審理が尽くされていないとして判断を示さず、高裁での審理を命じた。また最高裁が2019年に合憲とした所からの社会に変化については、性同一性障害への理解が広まりつつあり、社会全体にとって予期せぬ変化にあたるとまでは言い難いなどと指摘した。