天正十年6月1日、本能寺で行われたという伝説の対局。本因坊日海の相手はライバルと目された利玄。劫は同じ場所の取り合いが続く状態のこと。劫ができると別の場所に置かないといけないが盤面に3か所できた場合は無効試合になる。三劫ができる確率は数万局に一局。事件前夜に起きたとされるため江戸時代には三劫は不吉の象徴として語られてきた。ところが棋譜には劫が1つもない。本能寺の変前夜に行われた本因坊日海と利玄の対局も生まれた三劫も事件を持ち上げるためのフィクションと考えられてきた。しかし近年、解き明かした人がいる。棋譜に記されていたのは128手目まで。本因坊日海が圧倒的有利の状態で劫が生まれる余地はないと考えられてきた。桑本七段は三劫の伝説を信じ棋譜に書かれていない、その先の手を何年も考え続け2020年に道筋が思い浮かんだという。163手目に現れた盤面に劫が生まれた。つまり棋譜は対局の途中までを記したものでフィクションとされた三劫は実際に起きた可能性が高い。
住所: 京都府京都市中京区寺町通御池下ル下本能寺前町522