国スポ=国民スポーツ大会について。去年までの名称だった国体のほうがなじみがあるかもしれない。ことしの佐賀大会にはおよそ1万8000人の選手が参加した。各都道府県の持ち回りで行われている国内最大級のスポーツ大会で現在は2巡目の後半。今この国スポが岐路に立っている。東京オリンピック金メダリストの競泳、大橋悠依さん。自身の引退レースに選んだのが特別な思いを持ってきた国スポだった。今、この国スポを見直す動きが本格化している。「都道府県対抗が時代にそぐわない」「開催自治体の負担が大きい」などの課題が上がり、有識者会議で議論が進められている。去年の開催地、鹿児島。特に負担となるのが会場の整備だといい、鹿児島市では競技団体からさまざまな指摘を受けて改修に追われた。4つの施設の整備費を含め市が負担した開催費用はおよそ39億円に上った。さらに9月から10月という観光シーズンに選手などの移動手段や宿泊施設を確保することにも苦労した。負担の一方で地域にスポーツが根づき、活気が生まれたケースもある。栃木県日光市の今市地区は昭和55年の国体でホッケーが行われ、今も多くの市民が競技に親しんでいる。当時の国体に少年女子で出場した栃木県ホッケー協会の関根由美子さん。ホッケーと縁もゆかりもないところから県外の指導者を招いて地域一体となった強化で好成績を残した。それ以降、普及と強化の取り組みは続き、専用グラウンドも整備。日本代表選手も輩出し、地元の子どもたちを指導する好循環が生まれている。有識者会議は今年度中に意見をまとめる予定。