政府が検討する政策など経済に関するテーマについて経済学者ら47人に見解をきくエコノミクスパネル。今回のテーマは「高校授業料の無償化」。私立に通う世帯の負担もカバーできるよう、家庭への支給額を引き上げるべきかどうか聞いたところ、70%の学者が反対した。現行の就学支援金は子どもが私立高校に通う年収590万円未満の世帯に39万6000円を上限に支給されている。東京大学の渡辺教授は、給付があるため出願者の数が減らなくなり、学費を上げるインセンティブが生じてしまうと指摘。慶應大学の小西教授は、私立校や塾の授業料高騰、そして受験競争のさらなる過熱を招いてしまう危険性があり、支援額を引き上げた場合、その効果が増幅される可能性は否定できないとの見方を示した。所得制限のあり方についても聞いた。高校の就学支援金に関わる所得制限は、公立校の授業料相当額を支給する場合は年収910万円未満。私立向けの場合は590万円未満と2つの区切りがある。この所得制限について撤廃の賛否を質問したところ、賛成が39%、反対が49%で意見が分かれる形になった。所得制限の撤廃を支持する慶応大学の坂井豊貴教授は、所得制限を課すと税が支え合いの仕組みではなく分断の原因になってしまうと指摘。所得制限の継続を支持する東京大学の重岡仁教授は、限られた財源を低中所得層への支援に重点的に配分する方が教育格差の是正に資する可能性が高いと回答。