生まれた赤ちゃんの誕生を祝って椅子をプレゼントする「君の椅子」。2006年に北海道で始まり、今年20年目を迎えた。4月に東神楽町で行われた君の椅子の贈呈式。椅子の裏には生まれた日と赤ちゃんの名前が刻まれている。今では道内外の13自治体が参加している。この取り組みを始めた磯田憲一さんは、道の副知事を務めたあと旭川の大学院で地域政策のゼミを担当していた。磯田さんは、いすというのは居場所の象徴、小さないすだけど自分の誕生を喜んでくれた証のいすでそれを手にしていることで残された人生をたくましく生きていこうというきっかけになるかもしれないと話した。「君の椅子」を作るのは旭川家具を手掛ける職人たち。使われるのは道産のナラ材で、毎年違ったデザインで作られる。これまでに5000脚以上作られているがその中に「希望の君の椅子」という特別な椅子がある。2011年3月11日の東日本大震災が発生した日に。福島、宮城、岩手で生まれた命のために作られた。宮城県名取市に住む佐藤雛咲さんは震災の日に生まれたことで複雑な思いをすることもあったが、この椅子が生活しているなかで見える範囲にあると安心する、自分を認めてくれるひとがいるんだなってと語った。