横浜市、東急東横線の日吉駅から歩いて3分の商店街の一角にある理容室。この道36年のベテラン理容師・半谷秀昭は月におよそ30人の障害がある子どもたちのヘアカットをしている。きっかけは15年前、訪問理容を始めた中で障害児が髪を切ることもままならないことや保護者が周りに迷惑をかけられないと理容室に連れて行くのをためらっていることを知った。そこで半谷自身が率先して障害がある子どもを受け入れようと店を改装した。店にもともと6席あった席をたった1つに減らした。さらに来店してからも落ち着いてもらえるように半谷は独自のノウハウも積み重ねてきた。初めて来た子どもたちとは保護者を交えて会話することから始める。カウンセリングシートにドライヤーやバリカンの音に敏感かどうかや興味があることなどを書き込む。2か月置きに通っている佑伍君がやって来た。彼は発達障害がありコミュニケーションを取るのが難しい面がある。事前にこれからのことを説明しないとパニックになることもある。以前は席に座っているのは5分ともたなかったという佑伍君だが、いまは10分程度までなら座ることができるときもある。集中力が途切れそうになると以前は黄色の首に巻くタオルなどを外していた。半谷のことばに励まされ10分間、乗り切ることができた。半谷は障害がある子どもの髪を切りながら、その成長も見守り続けている。また半谷は訪問理容を提供するNPO法人でも活動しており、この取り組みを通して障害児の理髪に対応できる理容師や美容師を増やしていきたいという。