能登半島地震で被災したピアノが、修復され持ち主のもとへ戻った。ピアノの帰りを待ち望んでいた女性の思いを取材。女性は石川・穴水町にある娘の自宅で避難生活を送っている。11年前に亡くなった夫が、子育てが一段落した60歳のころ、ピアノを習うよう勧めてくれ、それ以来ピアノが生きがいになっていた。ピアノを置いていた石川・輪島市の自宅。ピアノは、割れた窓ガラスから雨や雪が入り込み傷んでいた。ピアノを直そうと考えたのは、女性の娘。生きがいを失い、ふさぎ込む母に少しでも前を向いてもらいたいと思ったから。娘は「震災ごみですべてのものを処分した。ピアノまでなくしたら、母はつらくていられないのではと」と語った。修復の依頼を受けた、福島・いわき市の調律師・遠藤洋さんは、これまで地震や台風で被災したピアノを100台以上、無償で修復。きっかけとなったのは、東日本大震災。ピアノを直してほしいという多くの声が寄せられ、どうしても救いたいと思ったという。能登半島地震で被災した女性のピアノの部品の交換や修理は2000か所に上った。待ち望んでいたピアノを迎え入れる日が来た。女性は「本当にうれしい。ちょっとは前向きになれそうかな」と語った。