福島の玉梨とうふ茶屋を訪ね、店主の謙一さんに話を聞いた。客席おの下はチョウザメを鑑賞できるようガラスの床になっていた。金山町で生まれた謙一さんは17歳のときに山スキーの最中崖から転落し、大けがを負った。10回もの大手術を経て辛うじて歩けるようになったが、元通りにはならなかった。睡眠薬を大量摂取して3度自殺を図った。酒やギャンブルに明け暮れ、実家からお金を持ち出しては遊び回っていた。大事に育ててくれた母を守りたい思いから実家に戻り、母と暮らすことを決意した。生計を立てるため、豆腐なら足の悪い自分でも作れると考えた。大豆の代わりに枝豆を使った豆腐は人気を呼び、連日観光バスが来るほど繁盛した。母は15年前に98歳で亡くなった。その後東日本大震災の影響で売上が激減。従業員も去っていき、専務の横田さんだけが残った。最近は店の常連がボランティアに来たり元従業員も手伝いに来るなど、以前のような賑やかさを取り戻しつつある。