愛媛県・大洲市の酒店店主・小谷順一さんは、2年前からはだか麦を原料としたウイスキー作りを始め、去年6月に第1号となる製品を完成させた。始めたきっかけは、店の経営の悪化。2018年の西日本豪雨で店が浸水し、9か月間閉店を余儀なくされ、さらに新型コロナで飲食店の需要が減り売り上げが3分の1となり、独自の商品を売り出せないかと考えたという。一方、はだか麦は新たな活用が課題となっていた。はだか麦生産者・牧秀宣さんは、小谷さんの依頼に大きな可能性を見いだしたという。ウイスキーをつくるにあたりさまざまな穀物を原料として扱う新潟の蒸留所に依頼したが、はだか麦の粘りけが問題で混ぜにくく仕込みが上手くいかなかった。そこで粘り気の弱いうるち性のはだか麦に変更して試行錯誤を重ね、9か月かけ、ようやくひとつの形にたどりついた。今、小谷さんたちはウイスキーの味をさらに追求するためプロジェクトを立ち上げて話し合いを重ねていて、酒蔵を改修し自前の蒸留所をつくろうとしている。