大切な家族を失った遺族は、なぜ事故を起こした加害者と面会し、想いを伝えたのか。5年前の事故で妻と娘を亡くした松永拓也さんに取材。2人の命を無駄にしたくないと事故防止の活動を続ける中で、加害者本人と話をしたいと思うようになったという。事故を起こした受刑者の93歳男は刑務所に収容されている。松永さんは心情等伝達制度を利用して面会を申し入れ、受刑者からは“応じる”との返事があった。一方、受刑者に会いたくないと考えていた遺族、妻の父親もいる。裁判で無罪を主張した受刑者に強い憎しみを抱いていた。そんな父親の気持ちを動かす出来事があった。今年に入って受刑者からの手紙を受け取った。手書きで綴られた2枚の便箋。少しずつ体の自由が利かなくなる中で、遺族に謝罪したいという思いが記されていた。“もっと早くに運転をやめていれば事故を起こさずに済んだ”と、後悔と反省の思いで手紙は結ばれていた。父親は複雑な思いを抱えながらも会うことを決めた。