地球温暖化防止に向けた脱炭素の取り組みを観光と結び付けることで、観光地としての価値を高めようという取り組みが島根県松江市で始まっている。松江市の名物で、年間10万人以上が楽しむ堀川遊覧船。ことし導入された新型の遊覧船は、モーターが電気で動く。従来のガソリンモーターに比べて静かで、二酸化炭素も出さない。松江市が自動車メーカーと開発した。現在は2隻だが今後、増やしていく計画。松江市が脱炭素を進める背景には“外国人観光客を取り込みたい”との思いがある。環境を意識した取り組みは、市街地を走る交通手段にも。ある会社は、観光客みずからが運転する電動三輪車・EVトゥクトゥクを導入した。フル充電で70kmの走行が可能。3人乗りで2時間4000円で利用できる。市が主導して、全国初の旅行商品も開発した。売りは“ブルーカーボン”。ブルーカーボンとは、海藻などの植物が海の中で吸収した二酸化炭素のこと。この旅行商品の仕組みを解説。観光客が列車などで松江を訪れる際、二酸化炭素が排出される。一方、松江の沿岸部の海中では、海藻などが二酸化炭素を吸収している。この二酸化炭素は専門機関からブルーカーボンの認証を受けており、別の場所で排出された二酸化炭素と相殺することができる。旅行者はこの仕組みを利用して、排出した二酸化炭素を実質ゼロにできる。旅行の料金には、ブルーカーボンを買い取る分の金額が上乗せされるため、一般的なプランに比べて1300円ほど割高になるが、販売開始から半年で70人以上が利用した。松江市が具体的に動くことで、観光と環境の両立に向けた官民一体となった取り組みが実現した。