中堅証券会社の東洋証券。株主総会で提案される予定だった桑原理哲社長の再任案が開始1時間前に取り下げられた。背景にあるのは議決権の3割弱を握る「モノ言う株主」との対立。2023年3月期の決算で最終赤字になるなど業績が低迷。モノ言う株主が解任を求めていた。事前の投票状況から、賛成比率が過半数に満たない状況だったとみられ、社長自ら辞退を申し出たという。今年の株主総会では、株主提案を受けた企業は91社と過去最高。モノ言う株主の存在感が高まっている背景にあるのは企業同士の株式の持ち合い解消が急スピードで進んでいること。株主の持ち合い解消で安定株主が減少。東証が全ての上場企業に株価改善の要請をしたことも後押しし、企業価値を高めると判断した場合は、モノ言う株主の提案にも賛成票を投じる株主が増えている。企業と株主との関係が変わり始めている。