東京・吉祥寺は住みたい街ランキングの常連として知られるものの、救急病院が相次いで廃院となってしまっている。日本病院会の相澤孝夫会長は救急病院の減少は全国で起こりつつあるとしている。特に入院などが必要な二次救急の病院を巡っては、吉祥寺周辺だけで2015年に松井外科病院は診療所となり、去年も森本病院が診療所となった。さらに、残された吉祥寺南病院は去年10月に診療休止となるなどしてしまっている。街の人からは子どもが体調を崩すのは夜間なので心配といった声も聞かれている。背景には経営難があると見られ、吉祥寺南病院元院長の藤井正道氏は常勤医師8人が2300台近くの救急車を使い500件以上の手術をしても稼げるわけではなく、建物や医療機器の老朽化を更新できなかったと振り返った。相次ぐ規模縮小を受けて練馬区の田中吉祥寺病院は患者が増加しているといい、その数は約2500台にも上るという。しかし、吉祥寺駅周辺の住民はすぐ対応できないなどと不安を隠せずにいる。救急病院は救急医療だけでなく災害時の医療や感染症対策の役割も持つ中、千葉・旭市の国保旭中央病院の坂本壮院長は年以上の単位で働くスタッフが不足し、30名いて救急希望は4~5人ほどしかいないのが現状と話している。過酷な労働環境からなり手が不足してしまっているという。東京・立川市の立川相互病院は10年にわたり赤字が続くなど経営が厳しい状況となっているが、60%以上が人件費となってしまっているといい、高橋雅哉院長は節約で対応できる部分は微々たるものなのが現状としている。相澤孝夫氏は全国の7割の病院で赤字額が増大しているのが現状、特に救急病院は厳しく診療報酬をあげないと維持が難しい状態と懸念を示している。