6月下旬から7月上旬にかけて道東で生後2か月ほどのタンチョウのヒナに、足環をつける標識調査が行われた。まだ完全にわかっていないタンチョウの生態を知るために、欠かせない調査。警戒心が強く動きも素早いヒナをどのように捕獲するのか、調査に密着した。まだ飛ぶことができないヒナを頬角し調べるバンディング。ヒナを傷つけないように細心の注意を払いながら、羽やくちばしなど体の状態を調べる。右足には番号が入った約25gの足環をつける。タンチョウを特定するため。足環の目撃情報を集めることで、繁殖地や越冬地など、詳しい移動経路やタンチョウの一生を追いかけることができる。40年以上にわたりタンチョウの保護、研究を続ける百瀬邦和さんは、環境省の委託を受けバンディングを行っている。ヒナはこの時期、主に湿原や畑で親と一緒に生活している。広大な場所でヒナを捕まえるためには、多くの人手が必要。この日のメンバーは15人。百瀬さんら専門家や獣医師、そして道内や全国各地から集まったボランティア。タンチョウの親子を見つけると、取り囲むようにボランティアを配置する。この日の気温は30℃近く。背丈ほどに伸びた草むらの中を探す。動きの素早いタンチョウのヒナがいて、毎回成功するわけではない。捕獲が成功するのは5~6割ほど。今年の冬の調査で過去最高となる2000羽近くが確認されたタンチョウ。牛の餌に依存する個体も数多くいる。人の生活と近くなることで、車にひかれて命を落とすタンチョウが、10年前の3倍以上になっている。百瀬さんはバンディングをすることで、ヒナが人への恐怖心を学ぶことを期待している。今年のバンディングで調査したのは24羽。百瀬さんは足環の目撃情報を集め、積極的に公開することで多くの人に知ってもらいたいと考えている。百瀬さんたちの活動が人とタンチョウの共存を支える。
