徳島県鳴門市では、毎年この時期に市民たちによる第九の演奏会が開かれる。防災行政無線から第九が鳴り、ドイツの国旗を表した第九ホットドッグも。その原点は100年以上前にある。今は公園となっている、第1次世界大戦のころに1000人を超えるドイツ兵捕虜の収容所があった場所。娯楽活動が許される環境にあったため、楽器を持ち込むなどしたドイツ兵がオーケストラを結成。106年前の6月の演奏会のプログラムには、ベートーベン交響曲第九番と書かれている。これが日本で初めて第九が演奏された瞬間。異国の音楽を受け入れる人々の気持ち。背景には“古くから四国霊場を巡る人たちを受け入れてきた鳴門の土壌があるのでは”と、鳴門市ドイツ館・森清治館長は話す。