国は洋上風力発電を将来の再生可能エネルギー拡大の柱に位置づけている。しかし、三菱商事はこの事業からの撤退を正式に表明した。三菱商事が撤退するのは秋田県と千葉県の3つの海域で、中部電力の子会社などと共同で進めてきた計画。早ければ2028年から発電を開始し、合わせて134基の風車を設置するとしていた。4年前、三菱商事などは他の事業者よりも大幅に安い売電価格を提示して落札していた。計画は妥当だったのか、会社は事業環境の激変が今回の結果につながったと説明。資材価格や人件費などの高騰でコストが大幅に増加し、撤退を判断したという。計画が進められてきた地域からは困惑の声があがっている。秋田県内の機械メーカーでは部品の受注を目指して、今年2月に大型の加工用機械を導入したばかり。国は今回の撤退の理由をもとに事業者が採算をとりやすいようにルールを見直した上で、地元の意向も踏まえて改めて公募する方針。政府は今後、再生可能エネルギーをめぐる戦略の見直しを迫られる可能性がある。