殿様枕は、主に江戸時代に、髪型を維持するために使われていた高くて硬い枕だ。国立循環器病研究センターの研究チームの分析で、新しい病気の概念「殿様枕症候群」が明らかになった。高い枕で寝る人ほど、脳卒中の原因のひとつである特発性椎骨動脈解離の発症率が高くなるという。特発性椎骨動脈解離は、首の後ろの血管が裂けることを言い、15~45歳の脳卒中患者の1割程度を占めている。枕が高いと、首に負荷がかかることや、寝返りなどで、首が回るときに、血管が傷つくことなどが原因とみられる。江戸時代の随筆には、枕の高さについて、長生きには9センチ、楽なのは12センチといった内容が書かれていて、当時の人々も、高い枕と脳卒中の隠れた関連性を意識していた可能性があるという。現代では、スマホなどを使用するために、枕を高くして寝る人もいて、そうした睡眠習慣が脳卒中リスクになり得るという。枕の目安は、寝たときに、立っているときと同じ姿勢をキープできる枕だという。専門家は、これを機に、緩やかな睡眠習慣の見直しをしてもらえればいいなどとしている。