米国大統領選挙を巡り、2つの有力紙が恒例となっていた特定の候補への支持表明をしない方針を示し波紋が広がっている。ワシントンポストはウィリアムルイスCEOの方針を説明する記事を掲載し、今回とこれ以降の大統領選挙では特定の候補者への支持は表明しないと明らかにした。“1976年より前は支持表明をしておらず、以前の方針に戻る”と強調している。一方で同じ日の記事で、論説担当の記者たちが民主党のハリス副大統領への支持表明を準備していたものの、オーナーでアマゾンの創業者でもあるジェフベゾス氏の判断で記事の公開が取りやめられたと報じている。SNSには「臆病な判断だ」などと抗議する投稿が相次ぎ、公共ラジオ「NPR」は“20万人以上が電子版の講読を解約した”と伝えている。またロサンゼルスタイムズは、2008年から大統領選挙で特定の候補への支持表明をしてきたが、今回は行わない方針を示した。ロサンゼルスタイムズオーナー・パトリックスンシオン氏は“特定の候補を選べばすでに深まっている国の分断が悪化するおそれがある”と説明しているが、“決定に反発して論説主幹が辞任した”という。2つの有力紙の方針転換への賛否は分かれ、波紋が広がっている。