先月水俣病患者団体が訴えるマイクの音を絞ったことが大きな問題になった。患者団体の訴える背景には今も救済されることのない多くの患者の存在がある。熊本・天草に住む中村房代は手足のしびれや震えなど水俣病と思われる症状に40年以上悩まされてきた。15年前、特別措置法に救済を求めたが認められなかった。居住地域である天草市は特別措置法の救済対象から僅かに外れていたという。その後救済を求めて10年以上裁判で戦ってきた。去年9月、大阪地方裁判所で特別措置法の対象外とされた人たちが起こした水俣病訴訟で原告全員の訴えが認められた。しかし今年3月に判決が下された熊本地方裁判所の判決は原告144人全員の訴えを退けるものだった。中村はほかの原告らとともに福岡高等裁判所に控訴することを決めた。