茨城県水戸市にあるベルトコンベアの設置・修理などを手掛ける企業。従業員は10人。修理に使う交換用ゴムや金属製部品などの仕入れコストは、2年前から約4割上がっているという。人手不足を解消しようと待遇改善に取り組んでいて、去年はベア分あわせ約5%賃上げした。民間の調査では、新年度賃上げを実施するとした中小企業は85%に上り、定期的調査を始めた2016年度以降で最も高くなった(東京商工リサーチ調べ)。一方、賃上げ率は今年度実績を0.5ポイント下回った。水戸市のこの企業は社長自ら取引先を訪問し、工事価格への転嫁の理解を求めている。国も価格交渉に臨む際のハンドブックを示している。また「価格転嫁サポート窓口」も全国に設置している。専門家は「税制優遇や補助金で賃上げを誘導するのは限界がきている。価格転嫁を受け入れやすいビジネス環境も考えていく必要がある」と述べている。